2019年
岡崎京子とその周辺の漫画家がピークで流行っていた時期、私は女子高生だったのだけど、なぜかはっきりとこのあたりの漫画の中身は自分とは無関係の話だと思っていた。

この時期のこのテイストの漫画には東京、若者、クラブ、セックス、お洒落っていうのが主に描かれていて、少年少女のリアリティと爛れた恋愛模様(仲間内でくっついたり離れたりする)がいつも一緒くたに表現されていた。だから、根本的に言いたいことはわかるんだけど状況にまったく感情移入できないというのがいつもの読後感だった。

この映画はスマホやSNSのある現代に舞台が置き換えられていたんだけど、話の流れがどうがんばってもあの当時のものなので、現代なのにずっと古臭さが拭えなかった。

若者が600万円手にしたところで、たぶん今の十代、二十代だったら二日で使い切るような遊び方できないんじゃないかな……。

常々思うのだけど、漫画の原作で完成度の高いものを実写映画化するとなると、やっぱり漫画を超えるつもりでやらないとなかなか厳しい。岡崎京子の筆致でしか語れない行間は当然この映画にはなく、実写映画はまた別のものだということを差し引いてもちょっと物足りなかった。
映像の美しさがコマーシャルやMVのような短期決戦型っぽいせいもあったと思う。
2020/01/20(月) 22:33 Comment(0) permalink

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